論考・発言

【10】2012/7 法務省ヒアリングでの発言「司法手続への被害者参加など犯罪被害者等の権利を護るための要望」

2012年7月3日

法務省ヒアリング(2012年7月3日、於:東京地方検察庁15階会議室)での
北海道交通事故被害者の会の発言より

要望

 北海道交通事故被害者の会の代表を務めております前田です。私の長女は、前方不注視の運転者によってひかれ、わずか17歳でそのすべてを奪われました。「通り魔殺人的」被害としか思われない娘の無念を思い、その犠牲を無駄にはしない、その一念で仲間とともに被害者の会の活動を続けているところです。私たちの痛切な思いは、「交通犯罪被害者の尊厳と権利、交通犯罪・事故撲滅のための要望書」としてまとめ、内閣府、警察庁、法務省、国交省など関係機関に、毎年提出しております。この度は、この要望書の中の、司法手続への被害者参加等に関して要望意見を申し述べます。

 初めに、述べておきたいことは、私たちが切望し、待ち望んでいた刑事裁判への被害者参加が実施に移されて、私たちは大いなる希望を持っているということです。これまでの刑事裁判は、被告人の権利だけが守られるものであって、被害者は蚊帳の外に置かれ、証拠品としてしか扱われてこなかったからです。私は、今日同席している裁判員裁判で被害者参加した真島さんの刑事裁判を傍聴し、次のような感想を書いたところです。

 「裁判員が見守る中、亡き息子さんに代わって御両親が当事者として代理人弁護士とともに入廷し、真実の言葉で陳述し、意見し、求刑しました。それは、自己保身のために説明を二転三転させている被告人供述によって、支配・混乱させられそうな法廷に、確かな真実の光をもたらすものでした」と。

 この貴重な権利回復の一歩をさらに進め、被害者参加制度を、被害者が真に権利主体となるための基軸になる制度に成熟させるために、以下、要望したいと思います。

意見1

 心情の意見陳述の対象者を、さらに、おじ、おば、おい、めいの親族へ拡大すること。

〈 理由 〉

 父母などの直系親族が、死亡や行方不明、疎遠などの事情から、おじ、おばなどが被害者の面倒を見ているというケースも考えられますので、少なくとも、おじ、おば、おい、めいまでは広げてもよいのではないかと考えます。

意見2

 被害者等による公判記録の閲覧及び謄写について、公判前の閲覧・謄写も、運用ではなく法律で定めていただきたい。また、請求者の範囲は、今、述べた心情の意見陳述者の範囲拡大に合わせていただきたい。

〈 理由 〉

 刑事裁判への手続参加が被害者の権利として認められたわけですから、手続参加に必要な事件記録類は、当然、閲覧・謄写を可能とすべきです。被害者に、情報収集権、捜査に関する情報を知る権利が確立されなければ、被告人質問権など、無意味になってしまうからです。その時期は、被害者参加をするかどうか、損害賠償命令制度を使うかどうかなどを判断するためにも必要なわけですから、当然、公判前にすべきです。これらを運用ではなく法文上で明記してください。

意見3

 意見2に関連して、交通事故調書の当事者への起訴前早期開示を可能とすることを求めます。

〈 理由 〉

 被害者・遺族は、故人の名誉と命の尊厳のために、何よりもまず事件の原因など、真相を知りたいと願い、真実に基づく厳正な裁きを求めます。そのために、被害者等の基本的な権利である「知る権利」及び司法手続に当事者として参加する権利、さらには刑事訴訟法の目的である真相解明に果たす被害者の役割の重要性、このことからも、実況見分調書など、客観的証拠の情報開示は必要不可欠です。交通犯罪の場合は、特に「事故だから」と軽く扱われ、「死人に口なし」の加害者供述に偏重した反事実の不公正捜査が今も根絶されてはいません。

意見4

 公判前整理手続に、被害者参加人という新たな訴訟当事者として位置付けられた被害者ないし被害者参加弁護士が出席できるようにすること。

〈 理由 〉

 犯罪被害者は事件の当事者ですから、刑事裁判で真実を追究し、被告人の刑事罰を求めることは、被害者の尊厳と人間らしい生活を回復するために必要不可欠な自然的権利です。公判前整理手続は、被害者参加制度の検討とは別に、裁判員裁判における裁判員の負担軽減のための集中的・連日的審理が主要命題とされて施行された手続です。そして、この後、犯罪被害者等からの強い要望で、被害者参加を中心とする刑訴法改正がありましたが、その際、公判前整理手続に関し、被害者の権利回復という視点からの再検討が十分になされたとは思われず、結果として、従来からの被告人の権利は丁寧に尊重される一方、被害者側の権利については大きな問題を残しました。私たちは、平成20年12月1日にも、この問題を法務省刑事局に、直接、要望しておりますが、犯罪被害者等基本法18条との趣旨離反について、再度、指摘し要望するものです。

 公判前整理手続の内容は、「証拠調べの請求」など、本来、公判廷で行われる審理内容であり、憲法82条「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ」の公開の原則に反するという基本問題も内包していますが、刑事司法は誰のためにあるのかということで、その骨組みが正された被害者参加制度の下で、新たな訴訟関係人となった被害者が、参加できないのは問題です。

 公判前整理手続を体験したある弁護士は、「裁判官の心証の中で、結局、結論が先にあるということが、公判前整理手続を通じ、分かってしまいました。」と書いております。争点整理のための証拠請求の扱い、期日設定等々について、出頭が出来、意見が求められる被告人側に対し、被害者、被害者参加弁護士がどうして参加できないのでしょう。出頭できないまま、既に争点が整理され、決定された証拠調べに基づき公判が開かれることで、被告人側との不公平さは歴然としています。

 この問題に対する当時の法務省の回答は、「被害者側が証言する段になったとき支障をきたす」というものでしたが、この理由~「被告人・弁護人の主張等の情報に接した後に、その被害者の方が証人として証言した場合には、証言の信用性が損なわれる」~については、今も納得することができません。これについては、被害者参加人の公判期日への出席制限も、やはり同じ理由が挙げられているのですが、これは、翻って、証人としての出廷が予定されていないときは、当然、出席できるというものですから、これを援用すれば、公判前整理手続にも、少なくとも、証人となる可能性がない場合には、その出席不可の理由はないはずです。

 この考え方には、被害者参加人が、公判期日に在廷若しくは傍聴し、他の証人尋問を聞いていた場合、公判での審理の推移から必要性が生じても、被害者が証人として立つことが出来なくなるという矛盾があるのですが、仮にこうした懸念を認めたとしても、証言の信用性を得るための被害者及び被告人の出席の制限は、訴訟指揮を執る裁判官または検察官がその都度判断・制限することで調整可能であり、被害者側がどちらも出席出来ないという理由は見当たらないと思います。

 また、同じ回答で、検察官が被害者参加人との十分な意思疎通を図ることで、この制度矛盾が解消できるかのように答えていますが、検察官とのコミュニケーションの前提としての検察官と被害者参加人との信頼関係を築けるかどうかが問題だと思います。理想ではなく現状から考えますと、被害者との根本的な「当事者性」の違いから困難なケースがあり、検察官の資質や裁量に委ねることはできないと思います。検察官は、当事者とはいえ、その職務として「公益の代表者として他の法令がその権限に属させた事務を行う」のですから、被害者等と一体の刑事手続当事者とはなれません。

 一方の当事者である被告人と同等の当事者性を持つためには、被害者の直接関与が鍵であるのに、その参加に制限を設けている公判前整理手続には、重大な不備があると言わざるを得ません。特に、交通事件の場合、警察捜査の段階で、「死人に口なし」の加害者供述偏重による不公正捜査の例もあり、当事者としての直接の関与が保障されなくては、「犯罪被害者等の尊厳にふさわしい処遇」という基本法の理念は実質化されないと思います。

 実際にあった会員の例ですが、初動捜査に致命的問題があり、加害者言うなりの捜査記録が作られました。しかし、公判前整理手続の対象となり、被害者側を除く密室での争点整理が事前になされたことにより、刑事裁判では、真相解明に必要な証拠調べが不十分で、加害者供述を偏重した不公正な裁きが行われ、真相解明と名誉回復は民事訴訟の場を待たなくてはなりませんでした。こうした不公正を引き起こす要因とならないために、所要の制度改善を求めるものです。

意見5

 裁判員裁判となった場合、原則、連日開廷という短期集中審理の弊害で、被害者参加の意義が失われるケースがあります。審理にかかる期間・日数は十分に確保することを望みます。

〈 理由 〉

 公道で生起する交通事件の多くは、加害者の特定は明確であるにもかかわらず、事故態様は千差万別で、事件の全容解明には広範囲な分野の知見や科学鑑定などが求められます。裁判員の負担軽減という観点だけからの短期間の審理では、特に、裁判員が事件の全貌を把握した上で公正な判断をするという点からも無理が生じます。
 短期集中審理の弊害として、公判前整理手続終了後には、新たな証拠調べ請求の制限がなされることも、「事案の真相を明らかにする」という刑訴法の目的に反します。真実に即した公正な判決をという被害者の尊厳にとっての基本が損なわれないよう、これまでの実情を把握し、裁判員制度のための審理の迅速化が一人歩きするのではなく、刑事裁判の目的そのものに立脚した改善を求めます。
 なお、この要望・意見に関しても、意見4で述べた公判前整理手続の問題が関わります。被害者参加人ないし被害者参加弁護士が出席し、公判期日の設定についても当事者として意見を述べる機会が与えられるなら、この懸念はかなり解消されると思われるからです。

意見6

 損害賠償命令制度の適用対象犯罪を、過失により人を死傷させた犯罪にまで拡大してください。

〈 理由 〉

 適用対象として被害者参加の対象となる犯罪から、自動車運転過失致死傷罪など、業務上過失致死傷及び重過失致死傷罪が外されていることは、大きな問題です。
 被害者の負担を軽減し、迅速な被害回復の実現を図るという制度趣旨から、対象犯罪は拡大すべきです。対象犯罪制限の理由に、例えば交通事故の場合、過失割合等の審理に時間を要する例が多いことが挙げられているようですが、事件によって異なると思います。最初から門戸を閉ざす必要はなく、損害賠償命令制度を使うかどうかの選択権は被害者にあり、また途中から民事裁判に移行することも可能なわけですから、限定する理由は成り立ちません。

意見7

 被害者参加人にも、旅費、宿泊費等を支給すること。

〈 理由 〉

 刑事訴訟手続は国家刑罰権発動手続です。その手続に参加するのですから、当然、税金で賄われるべきです。報酬はともかく、旅費と宿泊料、日当は出すべきと考えます。事件によっては、刑事裁判の管轄が被害者の住所地と異なる場合もあるわけです。とりわけ、私ども北海道においては、裁判所から遠隔地の居住の場合が多く、負担軽減のためにも所要の改善措置が求められます。なお、一部の自治体において、条例で負担することを定めた例があるとも聞きますが、これは、当然、国が処置すべき性質のものと考えます。

意見8

 被害者参加人には、その資力にかかわらず国選弁護士を付けることができるように法改正してください。

〈 理由 〉

 前記の旅費と同様、刑事訴訟手続は国家刑罰権発動手続であり、その手続に参加するのですから、当然、税金で賄われるべきです。被害者は、もちろん、望んで被害にあったわけではありません。資力要件は不要と考えます。

 私からは以上ですが、次にこれまで述べました被害者参加制度の意義と今後の改善点について、先ほど申しました、実際に危険運転致死罪による裁判員裁判において被害者参加した会員遺族~この方の取り組みについては資料の会報38号に関連記事がありますが~の体験から具体的に指摘致します。

以下、真島さんの発言

 北海道交通事故被害者の会の会員の真島勝彦といいます。私は遺された親です。長男、真島以明(いざや)は、北海道教育大学4年生の23歳で、北海道警察の2次試験当日、面接を受けに行く直前、殊更に赤信号を無視した大型トラックに横断歩道上ではねられて亡くなりました。2010年7月4日のことでした。やっと、2012年2月27日から3月2日にかけて、北海道最初の危険運転致死罪を問う裁判員裁判が開かれ、検察の求刑10年に判決は5年と、余りに短い判決に、今更ながら交通事故に対する意識の低さに愕然としました。

 裁判までの経過ですが、加害者が、赤信号を殊更に、無視していたことを否定していたこともあり、捜査も時間がかかり、ようやく2011年5月13日に加害者が起訴され、私は、すぐに担当検事さんに、被害者参加制度を利用したい旨連絡しました。私は、起訴されるまで、記録証拠自体は見ることができませんでした。加害者が起訴された後、記録を検察庁で見ることができましたが、この被害者等による記録証拠の閲覧及び謄写の要件の緩和は、単に運用でやるべきではなく、被害者の権利として法律に明記してほしいと思います。現状では、以前より、被害者が記録証拠を見る上での要件が緩和され、例外的な措置だったものが原則的なものに位置付け直されていますが、それでも不十分だと思います。というのは、例えば交通事故の場合、それがどのような事故か、分かりにくいことも多く、被害者参加制度を利用するかどうかを判断する上でも、調書資料が重要だと思うからです。実際、被害者参加が認められて、検察と協力して、裁判に参加するということで、調書類の謄写が認められ、コピーが弁護士を通して送られてきて、自宅でじっくり読みこなすことで、はっきり分かったことも多いのです。

 例えば、目撃者の証言により、長男が、止まっている車を見て、安心してゆっくり横断歩道を渡っていたことや、加害者が、多くの車が止まっているにもかかわらず、一度も歩道を見もしなかったことなど、調書を見て改めて分かりました。また、私は、事件から起訴まで1年近くかかったために、詳しい事件の実態を知る前から、被害者参加制度を利用して、事実を認めない加害者の考えを問いただしたいと思い、自分なりの準備を進めていました。しかし、事件から起訴まで短期間で進むような裁判だと、単に警察や検察の事情説明だけだと、担当者の説明の仕方などの人間的な側面に左右される可能性もあり、記録自体を被害者や被害者遺族が見る必要があると思います。記録により事実を知ることは、被害者がその尊厳を維持する上でも欠かせないことだと思います。また、このような証拠記録を被害者が見ることを被害者の権利と明記することは、司法担当者の意識を具体的に変えることにもなると考えます。

 次に、公判前整理手続について話します。加害者が危険運転致死罪で起訴されて、裁判員裁判の対象となったために公判前整理手続が始まりました。加害者は、起訴が決まって拘置所に収監されたこともあってか、「殊更に赤信号を無視していない。」と改めて私たち遺族に言ってきました。それは裁判の最後まで変わりませんでした。否認事件だったということもあり、特に公判前整理手続に被害者参加弁護士だけでも参加できるようになれば、真理を追究する上で欠かせない、証拠の絞り過ぎへの歯止めになるのではないかと思います。

 公判前整理手続によって、裁判で議論される証拠が原則的に決められてしまうわけですから、被害者として、ここは是非問題としてほしいということで、公的に発言できる場を保障する必要があると考えます。被害者参加人が証人となる場合を考えて出席できないというのなら、被害者の意向を酌んでいる弁護士の参加も、法的に保障することが必要だと思います。裁判の迅速化のために、事件を解明するために必要な被害者の視点が埋没してしまわないように、事件の真実が見逃されないように、必要なことだと思います。

 検察官からは、公判前整理手続前後には、被害者参加人である私に連絡して、文書等で報告を受けましたが、そしてその際に、直接あるいは弁護士を通じて意向は伝えましたが、公判前整理手続は、実態として裁判の基本的性格を決める重要な制度であり、被害者参加人か、あるいは弁護士の参加は欠かせないと思います。裁判に関しても、被害者参加制度を広く利用することは、被害者参加人だけではなく、真実を追究していく上でも、意味のあるものになると思います。事実、私の意見陳述が検察の立証内容を補強するものとして活用されました。そのために、私が参加人となり、事前に裁判について、検察官と弁護士と私の三者で、被告人に質問する内容とか、あるいは先ほど言いました意見陳述の内容についても、いろいろ細かいところまで相談しました。被害者参加人自ら意見陳述することを通して、被害者の尊厳と名誉の回復に役立ったと思います。

 被告人は最後まで事実を認めませんでしたが、被告人にとっても、私たち親の発言を通して、被害者がどういう人間であったかを知ることは、自分の犯した罪を理解する上で、少しは効果を与えたかと思います。

 3月2日の判決のすぐ後、4時から損害賠償命令制度の審尋が始まりました。相手方保険会社弁護士と刑事事件を担当した裁判官、交通事故遺族の私たち夫婦と弁護士が出席しました。実質的な争点は、長男が警察官になれたかどうかという一点だけでした。加害者側保険会社は、事故で亡くなったために、二次試験を受けていないのだから、合格の蓋然性がないと主張し、私たちは、大学でラグビー部のレギュラーをしていた長男は、一次試験、男子2,087人中28番の成績で合格しており、二次試験の体力試験と面接を受けていたら合格したと主張しました。原則4回の審尋の3回目のときに、裁判所は和解案を提示して、和解案は、事故に遭わなければ警察官になれたという私たちの主張を認めて、これは、刑事裁判で証明された、本人が、小学生から大学生になるまで一貫して警察官になって人の役に立つ仕事をしたいという本人の意思を裁判官もあらかじめ認めていて、その上で警察官になれたということを前提として、逸失利益を算定し提示しますということでした。遺族としては、事故がなければ、息子は警察官になっていたことを裁判所が認めたことで満足し、第4回の審尋のときに和解案を受け入れました。この損害賠償命令制度における裁判の和解の判断は、警察官に採用決定前に亡くなった青年の警察官への強い意思を認めた異例の判断ということで、北海道だけではなく全国的にも報道されました。この制度は、刑事裁判を担当した裁判官が担当することで、事件の全体像を理解した上での判断ができること、刑事記録がそのまま利用できることなど、被害者にとって多くの利点があり、被害者にとって良い制度であると思います。

 交通事故の場合、現状では危険運転致死罪に限られていますが、ぜひ適用範囲を広げてほしいと思います。交通事故の場合、過失割合など、複雑なために制度になじまないとの危惧があるそうですが、実際に争点になることは限られています。また、民事事件への移行も可能な制度であるので、適用範囲を広げることは被害者保護のために有効であると思います。

 多くの被害者遺族は、刑事事件のことだけで精いっぱいで、民事事件については手につかない人が多いのです。ぜひ交通事故においても適用事件を拡大して下さるようにお願いします。

 それから、最後に裁判員裁判の量刑の問題について一言述べたいと思います。被害者参加制度の対象事件は、裁判員裁判と重なることが多く、私の事件の裁判員裁判を経験して、感じた大きな問題点を指摘します。

 ちょうど長男の事件の裁判が始まる前に、最高裁から、裁判員裁判の判決を尊重して、量刑不当だけでは控訴しないようにとの判例が出ました。そのために、事件自体の認定が間違っていたら控訴できますが、量刑不当だけでは控訴できなくなりましたと裁判前に検察官から話がありました。裁判は、検察の求刑10年に対して、判決は5年、被害者参加人として検察に控訴をお願いしましたが、会議にはかけるが、量刑不当だけでは控訴できないと改めて話されて、控訴はできませんでした。裁判の中身が分からないことも問題ですが、刑の決め方についても根本的問題があると思います。裁判員の多数で無罪は決められるのに、量刑に関しては、裁判官が認める量刑でなければ決められない、これはおかしいと思います。つまり、例えば裁判員が、検察10年の求刑に対して多数が12年を求めても、そこに裁判官がいなければ、結局、裁判官の判断5年が刑として決まってしまう。実質、量刑に関しては裁判官が決めているのです。しかも、裁判員裁判ということで検察は控訴できない、これはどう見てもおかしいと思います。 あす、7月4日は、息子、の3回忌になります。公正な裁判のために、人のために働きたいと警察官を志望していた長男、でした。このヒアリングが犯罪被害者のためになることを願って終わります。どうもありがとうございました。

最後に前田から一言

 会員に、この被害者参加制度を知らなかった、知っていたなら是非参加したかったということを、裁判が終わってから述べていた遺族がおりました。是非、被害者参加制度について、事件のあった後被害者等に、こういう制度がありますということを丁寧に説明していただきたいと思っています。

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