交通死ー遺された親の叫びⅠ(2013~1998)

【コラムNo.020】2006/1/10 犯罪被害者等基本計画」と「交通死ワースト返上」に思う

2006年1月10日

◆昨年末の12月27日、犯罪被害者等基本計画が閣議決定されました。2004年12月成立の基本法に基づく施策が具体的な形となって現れた70ページ、258項目に、ある種の感慨を覚えます。

◆8月の骨子案は225項目でした。9月の意見募集会に当会も11項目の要望意見を提出しましたが、被害者の要望も聞いて、さらに33項目の追加があったと聞きます。

◆私たちが、これを不問にしては施策全体への信頼が揺らぐと強調した、知る権利と捜査の公正さの保障については、刑事手続への関与拡充(法18条関係)の「現状認識」の項に、「犯罪被害者等からは、現状について、犯罪被害者等は証拠として扱われているに過ぎず『事件の当事者』にふさわしい扱いを受けていないという批判があり、刑事に関する手続及び少年保護事件の手続に関し、一層の情報提供と参加する権利を認めるよう要望する声が多い」と「権利」を含めた表現に書き改められました。(p40)

◆調書開示など、未だ具体化にはほど遠いのですが、一歩前進とは言えます。重点課題の説明の中にも「刑事司法は、社会の秩序の維持を図るという目的に加え、それが『事件の当事者』である生身の犯罪被害者等の権利利益の回復に重要な意義を有することも認識された上で、その手続を進めるべきである」(p10)と明記されました。

◆基本法が被害者の権利という点で画期を成したことは確実です。しかし、計画期間は2010年までの5年です。今後に委ねられた項目も多いこと、さらに、推進体制の項で、「犯罪被害者等の要望を踏まえ」「犯罪被害者等の意見に随時耳を傾けつつ」(p13)、施策の有効性の検証を行いながら点検、監視のフォローアップを実施する(p15)などとしていることからすれば、やはり今後の私たち「被害者等」の役割は大きいと言えます。

◆国民の理解増進のための「犯罪被害者週間(11月25日~12月1日)」も明確に位置づけられました。厳しい中ですが、互いに励まし合い、これからも当事者の「声」をあげなくてはなりません。

■もう一つ。年初の「道内交通死ワースト返上」の報に、忘れて欲しくない事をいくつか。

■事故件数はそれほど減ってはおらず、負傷者数は188人増の35388人に上ります。重篤の後遺障害の方も増えています。そして死者302人のうち、歩行中に車にひかれた事件が86人にもおよぶことを考えると、悲惨な現実に変わりはありません。

■昨年本州の小学生が凶悪犯の犠牲になる事件が相次ぎ、通学路の安全確保が話題になっていますが、児童生徒の安全を日常的に脅かしているのは「危険な車」です。厚生労働省によると、子どもの死因のトップは交通事故。道内でもここ数年、歩行・自転車の児童生徒が、2月に1人の割合で命を奪われ、毎日5人もの生徒が負傷しているのです。「年明け5人死亡」という3日の記事に胸が痛みます。被害ゼロを切に願います。(前)

(「北海道交通事故被害者の会」会報19号より)

-交通死ー遺された親の叫びⅠ(2013~1998)
-

© 2024 交通死「遺された親」の叫び