◆北海道の仲間(会員)が10人そろって11月24、25日の犯罪被害者週間全国大会に参加しました。大会のサブテーマ「いのち・希望・未来」には「いのちを大切にする心をつなぎ、社会全体が希望ある未来へ向かうために、団体どうし、そして多くの市民がつながり合いましょう」という願いが込められています。大会は、所期の目的を達成し、参加者の胸に次回も是非参加したいという余韻を残して終えることが出来ました。
◆振り返ると、2007年は、この生命への共感を求める「つながり」が網の目のように拡がりつつあることを感じさせられる1年でした。
◆「死者数120万人、負傷者数5000万人」。WHO(世界保健機関)がまとめた2002年1年間の交通事犯の犠牲者数です。国連はこうした現状に警告を発し、2005年10月26日の総会で、毎年11月の第3日曜日を「WORLD DAY OF REMEMBRANCE FOR ROAD TRAFFIC VICTIMS」(世界交通被害者追悼の日)とし、「加盟国と国際社会が交通被害者やその家族を適切に認識するための日とすることを要請する」ことを決議しました。
◆政府の公報もなく知らされない中で、共同提唱のWHOが作成した「指針」を和訳し、日本での「犠牲者の日」連絡会(準)を呼びかけられたのは、京都在住の今井博之さんです。今井さんは小児科のお医者さんですが、10歳の息子さんを交通犯罪で亡くしており、以来、著書や論文で被害ゼロの社会を訴えられています。(「クルマ社会と子どもたち」岩波ブックレット、など)
◆北海道の会でもこの呼びかけに応え、パネル展実施を検討。札幌市市民まちづくり局の協力を得、プレ企画の展示を11月12、13日、大通り地下街オーロラタウンで行いました。
◆「TAV交通死被害者の会」(事務局大阪市)や「交通事故被害者遺族の声を届ける会」(事務局川崎市)などは、このワールドディに「交通死ゼロへの『風』を全国的な社会運動に」という意味を込め、「風」を受ける黄色の「風車」を事件現場にという運動を展開しました。また、「交通事故調書の開示を求める会」(事務局東京)は、その11月18日、東京で記念シンポジウム「交通犯罪被害者が二次被害に遭わないために~今求められること~」を行いました。
◆このワールドディを市民の立場で担い、大きな運動にしたいと取り組みを始めた方が、千葉商科大学の小栗幸夫教授です。教授が昨年11月5日、急きょ立ち上げた掲示板サイトの名称は「世界道路交通犠牲者の日・つながるプラザ」でした。このサイトで多くの個人と団体がつながり、ワールドディはさらに大きく広がりました。
◆交通被害ゼロのために小栗教授が研究開発し、実用化を目指しているのは、自動車が必要以上の速度を出さないように「(道路)環境にふさわしい最高速度を選択し、それを外部に表示する車」(速度抑制車)で、名付けて「ソフトカー」
◆小栗教授と試作の「ソフトカー」に、11月18日のシンポの会場で「お会い」できました。新たな「つながり」が、「未来」への大きな「希望」を与えてくれたのです。2008年も「希望」を胸に着実に歩みたいものです。
北海道交通事故被害者の会会報25号(2008年1月10日)掲載の「編集を終えて」より