交通死ー遺された親の叫びⅠ(2013~1998)

【コラムNo.005】2000/7/15 ある判決

投稿日:2000年7月15日 更新日:

昨日、7月14日、札幌地裁での斉藤良夫さん(「北海道交通事故被害者の会」会員の斉藤千穂さんのお父様 当時76歳)を轢き殺した加害者に対する刑事裁判の判決公判を傍聴した。判決は「禁固1年」の実刑。奥様はじめご家族の方は、執行猶予がつかない実刑であったことで、ほんの少しお父様の無念を晴らせたと、ほっとしたような表情。判決前には、もし執行猶予がついたら控訴するよう検事にお願いしたいと話していた。

この事件は1999年10月29日、青信号で横断歩道を歩行中の斉藤さんが、安全確認を怠り漫然20キロで右折走行した普通貨物車にひかれ亡くなったという事犯である。

判決文をもとに、詳しい分析が必要だが、現在の「クルマ優先社会」の交通犯罪に寛容な司法制度の中では、比較的良識が反映した重い量刑の判決と思われる。もちろん、「未必の故意」による殺人であるから、死刑か無期懲役が至当なのだが。

同じように青信号横断中に息子さんを失った長谷智喜さんの書かれた「分離信号」(生活思想社)に紹介されている数件の「青信号横断中の右左折加害車両による犯罪」では、重い量刑でも禁固10ヶ月であった。中には禁固1年6ヶ月に、全く理由にならない「情状酌量」で5年の執行猶予がついたものもある。「理不尽な交通犯罪を許さない。加害者には実刑を」と、ここまでたたかってきた千穂さんとお母様をはじめご家族の方のお父様への思いが通じたのだと思う。
しかし、加害者が刑務所に入ろうとも、尊い命は戻らない。改めて斉藤良夫様のご冥福を祈るとともに、 私たちの今後のたたかいの決意を固めたい。

私にもいろいろな感懐が頭をよぎった。娘の死を無にしないため、クルマ優先社会と交通犯罪を告発してきたささやかなとりくみの一つの成果なのかと。娘は父の活動を少しは認めてくれるだろうかと。そして、改めて私の娘を殺めた加害者が従前どおりの仕事や生活をしていることの理不尽さ、娘の不憫さを思い胸が張り裂けそうになった。せめて刑務所に入ってほしかった。・・・。
私は刑事裁判で厳罰を望む陳述の機会も得られなかったし、検事との関係においても、お礼の言葉をかけるような終わり方も出来なかった。悔しい。

しかし、「被害者の会」もでき、裁判支援を具体的に進めるようになりつつある。弁護士とのネットワークももう少し。ここまできた。娘もこれからの私たちの取り組みを見守ってくれていると思う。尊い犠牲を無にしないために、個々の事件を決して過去のものにしない。不条理に決して泣き寝入りをしない。娘の仏前で再び誓った。

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