交通死ー遺された親の叫びⅠ(2013~1998)

【コラムNo.018】2005/1/10 運転席の「装飾版」が全面禁止に

2005年1月10日

◆クルマ使用の社会的規制が一つ進みました。視界が遮られて危険が指摘されていたトラックなどのフロントガラスの「装飾板」が、この1月から全面禁止となったのです。

◆国土交通省が道路運送車両法の「保安基準」を改正(12月2日官報公布、施行日2005年1月1日)したのです。

◆被けん引自動車以外の全ての自動車について、前面ガラス及び側面ガラスに装飾板等を装着した状態は、基準不適合とする(可視光線透過率が70%以上となるものは除く)というもので、違反した場合、ユーザーは50万円以下の罰金、取り付けた業者は6か月以下の懲役または罰金30万円が科せられます。

◆これまで、スモークフィルムについては違反でしたが、アルミ及びアクリル板をフロントに取り付けた装飾板は違反対象に出来ませんでした。今回はその様な行為も禁止をし、罰則対象にしたものです。

◆きっかけになったのは、2003年11月に川崎市で装飾板を着けたトラックが横断中の母子をひき、ベビーカーの幼児が死亡し母親が重傷となる事件ですが、同様の被害にあった遺族の皆さんが国土交通省に何度も要望書を出すなどの働きかけをして実現しました。

◆極めて当然のことであり、いまさらという感がしないでもありませんが、こうした措置の積み重ねが、命や安全よりクルマ通行を優先する倒錯した社会を変えていく力になると思います。

◆私も意を強くしましたが、被害者の会の会員では、筒井さん(世話人・札幌市)の妹さんが、装飾板を装着したトラックの犠牲になっており、当時の新聞(H10.12.5「道新」)も原因の一つと指摘していました。

◆その筒井さんは、妹さんの無念を噛みしめながら「今回の改正を聞き、ようやく一安心できたなと思います。しかし、まだまだ世の中には改正してほしいこと、矛盾…様々な問題が残っています。装飾板の禁止はその中の一つでしかありません。今後も、微力ですが頑張っていきたいと思います」とその心境を語ってくれました。

◆同じく、平成14年に装飾板を着けたトラックによって奥様を亡くした札幌市北区の四戸岸さん(会員)も「何より大切なのは安全確認。そのための規制はより強化すべきです」と述べています。

◆今後も「犠牲を繰り返すな」という当事者の痛切な声を、具体的に上げていく必要があると思います。(前)

(「北海道交通事故被害者の会」会報16号より)

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