交通死ー遺された親の叫びⅠ(2013~1998)

【コラムNo.033】 2013/1/15 新しい年に

2013年1月15日

~ 編集を終えて ~

■1年前のこの欄に、「1月9日現在、道内の交通死は1名です。その被害の重みを胸に刻み、犠牲はこれで終わりにしなければならないとの思いを新たにしました。」と書きました。「ゼロへの提言」のフォーラムを特集した本号の編集を終えた1月15日現在、道内の交通死は今年も「1」です。しかし、9日までは「0」でした。年明け後のゼロ日数は88年と2011年の「4日」を上回る「最遅記録」とのことです。

■フォーラムの感想アンケートに、「夫と息子が交通事故で亡くなってから、ニュースや新聞記事は〈交通事故〉ばかり耳と目に入るようになりました」と書かれたご遺族がありました。私もそうですが、被害者は「犠牲を無にしたくない」との強い思いから、交通死傷報道とその「数」に、いつも憂います。しかし、9日間「北海道0人」との記事を目にしたとき、少しの希望を感じました。今冬の多雪による「交通静穏化=スピード抑制」がその一因としてあるとは思いますが、意識の変化もあると思うからです。

■会が出来た頃は「ゼロを」という言葉を遠慮がちに口にしたこともありました。しかし、私たちは、仲間と心を一つに、「減らす」だけでなく「根絶」しなければならないと、行政や社会に必死に訴え続けてきました。

■結果、歩みは遅いですが、犯罪被害者等基本法や刑罰改正などもあり、社会の受け止めに変化の兆し~「ゼロを」という訴えに共感してくれる人が多くなった~が感じられるのです。

■それでも未だ、気持の落ち込みを感じることが時々あります。ハートバンド主催の全国大会に出席された諸澤英道先生(2007年の道フォーラムの講師)は車座トークで「矛盾だらけの、犯罪者のための司法制度全てを、被害者のためのものに作り直さなければならない」と強調されました。今フォーラムで討議した刑罰改正など、課題の多さと大きさに時折たじろぎますが、「私の未来宣言」(※犯罪被害者団体ネットワーク(ハートバンド)が2012年12月1日の大会で発表した宣言文)を読み返し、一人ではないこと、仲間の輪、支援の輪、社会正義を求める人々の輪の大きさと力を信じ、それらを一層感じられるよう、前へ進まなくては思います。 

北海道交通事故被害者の会会報40号(2013年1月15日)掲載の「編集を終えて」より

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