交通死ー遺された親の叫びⅡ(最新〜2013) 交通事件

【報告】砂川5人死傷事件(その2)2016.11. 傍聴報告

2016年11月3日

 昨年6月6日に北海道砂川市で起きた、永桶さん一家5人が死傷させられるという悲惨な事件(砂川事件)の裁判員裁判が札幌地裁で始まり、10月28日、第9回公判で結審しました。

 判決は11月10日午後4時ですが、以下、結審までの傍聴支援報告抄です。

【10月17日】初公判

※10月17日の初公判で、被告は下記新聞切り抜きにあるようにその大部分を否認しました

【以下は、北海道新聞10月18日の切り抜きです】

【10月18日】第2回公判

 目撃者および警察署員による防犯カメラの映像など、検察側証人の生々しい事件再現の証言に背筋が凍る思いでした。
被告の2名は、うなだれることもなく、開き直った風に見え、亡き4人のご家族と入院生活をされている光さんのことを思うと、怒りの気持ちで一杯になりました。

 そんな中、検察側証人の3名の方の凜とした証言に救われました。

【以下は10月19日の第3回公判を終えて、北海道新聞が翌20日に報じた記事切り抜きです】

【10月26日】第7回公判

 間が空きましたが、砂川事件第7回公判の報告です。
(私は、道東の高校3校での「命の大切さを学ぶ教室」があり、20~25日は傍聴出来ませんでした)

 冒頭、昨日の証人尋問で証言を拒否した知人男性の供述調書が証拠採用されました。
 その内容は、両被告の仰天するような日常的な狂気の違法暴走運転行為でした。

 続いて、古味被告への被告人質問。古味被告は、飲酒運転は認めたものの、危険運転罪につながる共謀、信号の殊更の無視、ひき逃げについては、状況証拠が十分に揃っているにもかかわらずこれを否認、嘘の言い逃れに終始しました。
 古味被告は、明らかに前後関係と矛盾するところに追い込まれると、「記憶にない」「はっきりは覚えていない」「わからない」などと言い逃れの常套句を連発。
 結果の重大性にもかかわらず、心からの反省はなく、永桶さんご一家への謝罪の意志や行動が全くないことも明白になりました。

 ご遺族の廣澤千恵子さんらは、無念の4人の遺影を胸に抱き、気丈に法廷を注視しておりました。

【10月27日】第8回公判

 昨日に続き、砂川事件第8回公判の報告です。(今日の抽選は一般の傍聴席、54席に対し、並んだ人が94人でした)

 本日は最初に谷越被告の被告人質問が行われました。昨日の古味被告同様、罪を逃れるために辻褄の合わない「弁明」をくり返しましたが、後半の検察や裁判員、裁判長からの質問で、その不実と矛盾が明白になりました。

 法廷でさらに明らかになったことは、被告が語る謝罪の言葉などはうわべだけであり、この段になっても、犯した罪(=被害者のこと)と真に向きあおうとしていないことです。

 最後に、廣澤千恵子さん(85歳)が、無念の子と孫のために、必死に涙をこらえながら、意見陳述をしました。(後段の記事参照)

 時間にして7分ほどでしたが、

「無念が晴れるわけではないが、(まだ、言い逃れを続ける両被告には)一番重い刑を切望します」

など、その一言一句が痛切で、裁判員はじめ傍聴者全ての胸を強く打ちました。

【以下は翌28日に北海道新聞が報じた記事の切り抜きです】

【10月28日】第9回公判

(本日も、2倍強の傍聴希望者があり、抽選がありました)

 10時半に開廷した裁判は、午前中、検察の意見(論告求刑)と被害者参加人(代理人弁護士)の意見が述べられ、午後は被告弁護人の最終弁論でした。

 検察の求刑は

谷越被告:懲役23年(起訴罪名の最高刑・・・危険運転致死傷罪:20年+酒気帯び運転罪:3年、の併合罪、23年)
古味被告:懲役23年(起訴罪名の最高刑は、危険運転致死傷罪(共謀):20年+ひき逃げ罪:10年の計30年であるが、谷越被告との均衡から23年に)

でした。

 求刑(量刑)とその理由も説得的であり、正にクルマを走る凶器とした両被告による未曾有の凄惨な交通「殺人」事件を(現行法で)裁くための、納得できる量刑と私は感じました。
 論告で指摘された、被告側が言い逃れのためにとって付けた嘘の供述とその矛盾は、あまりにも多く、本メールで詳述することは困難です。

 被害者参加弁護士から力強く述べられた意見も、法廷全体の共感を呼びました。
 特に、昇太さんの悲劇です。谷越車との衝突直後外に投げ出された昇太さんはその時点では致命傷はなく、古味車に轢かれなければ助かっていました。さらに約1.5キロ仰向けのまま車底に引きずられ、遺棄された昇太さんの無念・・・。
 そして、脳に重い障害を負わされた光さんの将来・・・。

 一方、2名の共謀した加害者には、反省のひとかけらも感じられませんでした。
 永桶さん一家全ての命と人生を奪ったことへの罪の意識が皆無であることは、昨日までの2日間に私が聞いた証言の一言ひとことに表れておりましたが、谷越被告が本日、裁判長に促されて述べた最後の一言は象徴的でした。

「ご遺族の方が前へ進めるよう、5名の方の分まで一生懸命生きたい」

 相手を殺めておきながら・・・、どこまで身勝手なのでしょう。

 最後に証言席から法廷を出る際にも、遺影を持った廣澤さんなどご遺族の方には、顔を向けるでも、一礼をするわけでもなく、平然と退廷。
 これにも、背筋の凍る思いがしました。

 午後の両被告弁護士による、まさにショー(または準備した「プレゼン」)のような「最終弁論」は、語るに値しません。
 真実をねじ曲げてまで悪を助けることを「仕事」とする「職」があって良いのかという、いつもの疑問が今日も暗雲のように広がりました。

 私は、良識ある裁判員が、求刑通りの判断をして、11月10日16時の判決日を迎えられることを確信しております。

【11月8日記】 いよいよ判決日を明後日に控えました。

 前回、拙稿を砂川事件の地元紙「プレス空知」(10月15日付)に掲載させて頂いたことを報告させてもらいましたが、プレス空知の砂川支局長さんは、本裁判の第8回公判(10月27日)を傍聴され、ご遺族である広沢千恵子さんの意見陳述の全てを紙面掲載いたしました。大変貴重ですので、下記に切り抜きを紹介します。

 私には、広沢さんの痛切な言葉の全てが心に強く響き、せめて加害の両名がこの意見陳述の魂の叫びを通して、殺め傷つけた永桶さんご家族の無念と怒りに真摯に向き合い、全ての事実と罪を即刻認めるべき、と、改めて思いました。

 全て痛切な広沢さんの言葉(陳述)ですが、中でも後段の「防犯カメラの映像が残っていて本当に良かったです」という言葉が特に印象的でした。
 法廷で、不実の言い逃れを平然とくり返す両被告にとっては、この客観証拠こそが一番の弱みであることを、広沢さんは感じられたのだと思います。

 刑罰は、被害の当事者に代わって(信託譲渡されて)国が行うものです。10日の判決が、せめて、広沢さんが代弁した4人の魂と光さんの無念を全て網羅した求刑通りの(正義の)判決となることを信じ願っています。

【11月9日】 北海道新聞が判決前の注目点を掲載

「北海道新聞」2016年11月9日

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