交通死ー遺された親の叫びⅡ(最新〜2013) 交通事件

【報告】砂川5人死傷事件(その3)2016.11. 札幌地裁は両被告に求刑通り懲役23年の判決

投稿日:2016年11月11日 更新日:

【11月11日】 前回の傍聴報告の続き

砂川事件は、11月10日16時から札幌地裁にて判決公判が行われ、田尻克巳裁判長は、両被告に求刑通り、懲役23年の判決を下しました。

砂川事件の判決から一夜明けましたが、改めて今判決の意義深さを感じます。

判決は検察の求刑通り、

谷越被告:懲役23年
(起訴罪名の最高刑・・・危険運転致死傷罪:20年+酒気帯び運転罪:3年、の併合罪、23年)
古味被告:23年
(起訴罪名の最高刑は、危険運転致死傷罪(共謀):20年+ひき逃げ罪:10年の計30年であるが、谷越被告との均衡から23年に)

でした。
※なお危険運転致死傷罪の詳細は
「自動車運転処罰法」2条5項「赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視
し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」であり、
これを共謀して行ったということです。

本事件の本質は

決して「事故」と言いくるめることを許さない、あまりにも甚大な被害結果の重大性

これをもたらした、およそ(本来道具であるべき)クルマの使い方を誤った極みとも言える、飲酒運転、公道でのカーチェイス、危険速度での爆走、赤信号無視というの悪質な犯罪行為

でした。

しかし、私には、これを裁く刑事司法に一抹の不安(一昨年の小樽事件や今年5月の旭川中島朱希さん被害事件が、当初は危険運転でなく過失運転の起訴であったことなど)があったことも事実です。

結果、昨日、傍聴席で聞いた、およそ35分にわたる田尻克巳裁判長の言い渡しは、明快でした。
辻褄の合わない被告と弁護団の嘘の言い逃れを一蹴し、曇り無く検察が指摘した罪状を認定しました。
昨日の法廷は真実と正義が支配しました。

砂川事件において、検察と裁判所に対する信頼を得ることができました。

結審までの法廷で、反省の様子もなく、理不尽な嘘の言い逃れをくり返す両被告を前に落ち込んでおられたご遺族が、判決後、気丈に記者会見席まで足を運ぶことが出来たのは、裁判官と裁判員の公正な判断の結果と思います。

決め手になったのは、被害者参加した広沢千恵子さんが意見陳述で「防犯カメラの映像が残っていて本当に良かったです」と述べたように、検察が証拠提出した5か所の防犯カメラ映像など、緻密で科学的な捜査であったと思います。

そして重要であったのは、山田廣弁護士をはじめとした弁護団が支えとなり、高齢でありながら広沢千恵子さんが被害者参加し、刑事裁判が誰のためにあるのかということを必死に訴え続けたことだと思います。

昨日の判決で、裁判長が「法律上の上限の刑がふさわしい」とした量刑の理由に、被害者と被害遺族の無念と苦痛・悲しみを強調されていたことは印象的でした。

亡き永桶弘一さん、文恵さん、恵さん、昇太さんのご冥福と、光さんの快復を祈り、今回の判決が、(控訴されず)一刻も早く確定することを願います。

北海道新聞の記事から

※ 以下、北海道新聞の記事から、判決についての解説、判決要旨を切り抜きます。

なお、後段の報道記事にあるように、何の反省もない両被告は、不当にも控訴しました。

北海道新聞 2016年11月11日付けより

判決要旨

谷越隆司被告と古味竜一被告に懲役23年を言い渡した10日の札幌地裁判決の要旨は次の通り。

【認定事実】
 谷越被告は酒気を帯びた状態で、2015年6月6日午後10時34分ごろ、砂川市で乗用車を運転、古味被告はRVを運転した。互いに速度を競うように高速で走行するため、共謀の上、交差点の信号機が32秒前から赤色を表示していたのに、いずれも故意に無視し、谷越被告は時速約111キロで、直後の古味被告は時速100キロを超える速度で交差点に進入。谷越被告の車が左から信号に従い進行した永桶弘一さんの車と衝突し、5人を死傷させた。

【共謀の有無】
 両被告は、遅くとも事故現場の交差点から約500メートル手前で信号が赤であることを容易に認識できた。信号は事故発生の32秒前からずっと赤だったところ、時速140キロで走行したと仮定しても停止線まで約13秒もの間、赤信号が見える状況だった。見落とすことは常識的に考えられない。
 両被告は互いの速度を意識して車を高速で走行させる意思を有していたと言え、いずれも赤信号を認識しながら従わず、減速することなく交差点に進入した。また同じ場所から出発して一緒に飲みに行くために同じ目的地を目指し、2台の車は非常に近い距離で走行していた。互いに相手と無関係に高速で走行していたとは到底考えられない。両被告は赤信号に従わず交差点を通過しようとする意思を相通じていたと言え、危険運転についての共謀を認めることができる。

【危険運転に関する両被告の主張について】
 谷越被告は事故直前に足元に落ちたサングラスを探していて赤信号を見落としたと供述したが、交差点が間近に迫る状況で前方から視線を外してサングラスを探し始める行動自体、常識では考えにくい。一方、古味被告は谷越被告の車のテールランプ付近を見ていて赤信号を認識していなかったと主張したが、谷越被告の車を見ていたとしても信号は視界に入るはずで、主張は不自然。また、それぞれが個別の事情でたまたま同じ交差点で赤信号を見落としたというのは、偶然に過ぎ、不合理だ。

【古味被告のひき逃げ】
 両被告の間に共謀が成立するので、谷越被告の車が永桶さんの車に衝突したことについても古味被告は責任を負う関係にある。また古味被告は、谷越被告の車と永桶さんの車の衝突を認識していたと認められ、事故の態様からすれば、衝突で人が負傷しただろうと認識していたことは常識的に考えて明らかだ。
 
【量刑の理由】
 一般国道を並走し時速100キロを超える速度で交差点に進入したことは危険極まりない。4人を死亡させ、1人に重傷を負わせる結果自体、これまでに例を見ないほど甚大かつ悲惨なものである。被告らは飲酒の上、飲み直しに行くために運転中、必要もないのに競うように高速で走行し、赤信号を無視した揚げ句、重大な事故を起こした。身勝手極まりなく、刑事責任は類を見ないほど重い。谷越被告は責任逃れの弁解に終始し、真摯(しんし)に反省しているとは言えず、法律上限の刑がふさわしい。古味被告も真摯な反省の態度が認められず、責任の重さは谷越被告のものと差異がない。

北海道新聞 2016年11月11日付け

両被告、不当にも控訴

2016/11/22 北海道新聞

砂川5人死傷
古味被告が控訴
「何が不服」遺族怒り

 砂川市の国道で昨年6月、一家5人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪で求刑通り懲役23年の判決を受けた住所不定、無職古味(こみ)竜一被告(28)が控訴したことについて、遺族からは怒りの声が上がった。
事故で亡くなった永桶(ながおけ)文恵さん=当時(44)=の母広沢千恵子さん(85)は、代理人弁護士を通じ「4人を殺され1人が大けがを負わされ、23年でも足りないのに、一体何が不服で控訴するのか」とコメントした。(後段略)

2016/11/25 北海道新聞 夕刊

谷越被告も控訴
砂川5人死傷

 砂川市の国道で昨年6月、一家5人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた建設業谷越隆司(たにこしりゅうじ)被告(28)は、求刑通り懲役23年とした10日の札幌地裁の裁判員裁判判決を不服とし、札幌高裁に控訴した。控訴は24日付。
 同じく危険運転致死傷罪などに問われ、求刑通り懲役23年とされた無職古味(こみ)竜一被告(28)は、すでに18日付で控訴している。

 地裁判決によると、谷越被告は昨年6月6日夜、古味被告と共謀して車の速度を競い、赤信号をことさらに無視し、時速100キロ超で交差点に進入。飲酒運転の谷越被告の乗用車が歌志内市の会社員永桶(ながおけ)弘一さん=当時(44)=の軽ワゴン車に衝突し、後続の古味被告が車外に放り出された長男を約1・5キロ引きずるなどして家族4人を死亡させ、1人に重傷を負わせた。
 公判で両被告は危険運転致死傷罪の成立を否定し、「共謀はしていない」と主張。谷越被告は過失運転致死傷罪にとどまるとし、古味被告は道交法違反(ひき逃げ)罪なども含めて無罪を主張したが、地裁判決はいずれも退けた。

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