交通死ー遺された親の叫びⅡ(最新〜2013) 被害者の尊厳と権利のために

【報告】刑訴法(被害者参加制度)意見交換会と最高検通達

2014年12月2日

 法務省刑事局は、被害者参加制度などを定めた平成19年改正刑事訴訟法の施行後見直しのため、被害者団体や法曹関係者、法学者などによる意見交換会を行ってきました(平成25年1月~26年7月)が、このほど、そこでの意見・指摘を踏まえて「犯罪被害者等の権利利益の尊重について」という次長検事通達が発出されました。極めて重要な通達ですので、経緯等以下報告します。

被害者団体代表も含め、16人の委員で12回の意見交換会

 意見交換会の構成員は、被害者団体、刑事法研究者、日弁連、裁判所、検察庁、法務省の各関係者計16人で、私(前田)は犯罪被害者団体ネットワーク(ハートバンド)の代表ということで委嘱を受け、微力ながら当事者として被害者の尊厳と権利回復のため、被害者参加制度の充実・純化をめざすべく意見提言を行ってきました。

 意見交換会は平成25年1月の第1回会議から平成26年7月の第12回会議まで1年半に渡って行われましたが、会議の中で強く感じた問題点は、日弁連(刑事弁護センター)として参加されている委員が、犯罪被害者等基本法の理念に反し、未だに被害者参加制度には反対であるという施行後の意見書を資料として提出し発言もするという意見交換会であったことです。
 私たち犯罪被害者等の尊厳と権利回復にとって希望の光である基本法の理念の具現化が、本来正義の側であるべき、極めて大きな勢力によって阻まれているという側面を改めて突きつけられ、暗澹たる気持になりながら、全国犯罪被害者の会(あすの会)の副代表幹事の高橋正人弁護士、および全国被害者支援ネットワーク理事の熊谷明彦弁護士など被害者団体の代表委員と共に奮闘してきました。

意見交換会の第8回までの概要

 意見交換会の第8回までの概要は、北海道交通事故被害者の会の会報41号と44号に掲載した次の報告を参照下さい

刑訴法(被害者参加制度)に関する法務省意見交換会の報告

第1回から第12回までの前田の主要発言

 そして、第1回から第12回までの前田の主要発言は次のPDFを参照下さい。

平成19年改正刑事訴訟法等に関する意見交換会 主要発言

開催状況(議事録、議事次第、名簿、配付資料)

 なお、詳細の開催状況(議事録、議事次第、名簿、配付資料)は、法務省ホームページ「平成19年改正刑事訴訟法等に関する意見交換会について
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00068.html(「刑訴法 意見交換会」で検索)
をご覧下さい。

意見交換の「論点」

 また、意見交換の「論点」は、法務省が2012年6~7月に3回にわたって行った被害者団体のヒアリング(法務省HP「犯罪被害者団体からのヒアリング(第1~3回)の開催について」)を基に、数回の論議で整理されたもので、大項目として「被害者参加制度に関するもの」と「その他」に分けられ、合計13の中項目と28の小項目から成ります。
論点整理 → http://www.moj.go.jp/content/000111626.pdf

(↑ここまでは本欄3月3日の再掲。 ↓ここからは、12月2日および12月27日の追記)

10月21日付け最高検通達により、貴重な前進

 10月21日、意見交換会での意見・指摘を踏まえた最高検察庁の二つの通達文書、

  • 「犯罪被害者等の権利利益の尊重について(依命通達)」(次長検事発、検事長・検事正宛て)
  • 「『犯罪被害者等の権利利益の尊重について』の発出について(通知)」(総務部長・公判部長発、各次席検事宛て)

が発せられ、刑事局より委員への説明がありました(私には11月28日)。

 二つの通達文書は、以下述べるように被害者参加制度の実質化に向けて大きな意義をもつ内容です。
 「依命通達」の趣旨をより詳細に解説したものが13ページからなる総務部長「通知」ですが、「通知」には「通達」の趣旨について、第1次基本計画の一節「刑事司法は社会の秩序の維持を図るという目的に加え、それが『事件の当事者』である生身の犯罪被害者等の権利利益の回復に重要な意義を有することも認識された上で、その手続きが進められるべきである」を引いて、検察官はこの指摘を真摯に受け止める必要があると記し、被害者参加制度の趣旨の再認識を図るとともに犯罪被害者等に一層の配慮がなされるよう網羅的・包括的に示したものと述べています。

 内容としても、私たちが求めてきた、検察官から被害者への、より丁寧な説明や情報提供、証拠閲覧の弾力的運用、主張・立証に当たっての(被害者からの)要望への配慮、公判前整理手続きへの「傍聴」の希望を裁判所に伝えるという配慮、公判期日設定の配慮、等々、より踏み込んだ具体的な通達になっています。
 被害者参加制度を真に生かして、被害者の尊厳と権利を守るために是非ご活用下さい。

 文書の内容は、こちら↓をクリックし、ダウンロードして下さい
「犯罪被害者等の権利利益の尊重について(依命通達)」
「『犯罪被害者等の権利利益の尊重について』の発出について(通知)」

 通達と通知の要点を表にまとめたものを作成しました。以下ご活用下さい。(1月16日改訂)

「最高検通達(H26・10・21)および部長通知(同)の要点」(前田作成)
最高検通達の要点(新旧比較付・閲覧用)
最高検通達の要点(新旧比較付・印刷用)

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