交通死ー遺された親の叫びⅡ(最新〜2013) 交通教育

【報告】公開シンポ「クルマ社会と交通教育」

2013年10月20日

 スローライフ交通教育の会 主催の公開シンポジウム「クルマ社会と交通教育」が10月19日開催されました。
 会場の北海道クリスチャンセンター(札幌市北区)には、大学や高校の教員、そして大学生(8人)、交通事故被害者の会の方、そして一般の方など、計29人が参加、今日的テーマのJR北海道の問題、公共交通のあり方など、熱心に討議されました。

公開シンポジウム「クルマ社会と交通教育」

特別報告「道内の交通で現在起こっていることー高規格道路建設とJR北海道の事故多発の両面から考える」

 最初の特別報告では、北海道教育大学の武田泉准教授が「道内の交通で現在起こっていることー高規格道路建設とJR北海道の事故多発の両面から考える」と題して講演。今年3月に開通した北見道路が、無駄な公共事業の典型であることを「北見の自然風土を考える市民連絡会」が行った調査結果をもとに分析。一方、事故多発など深刻なJR北海道問題の根源は分割民営化施策にあり、無理な独立採算を強いることこそ問題であることを指摘。今後の交通教育のあり方として、できるだけクルマを使わなくても済む交通体系の構築~鉄道という交通モードの維持が大切であると力説しました。

報告

 続いての報告は、弟さんを交通犯罪でなくした大学生の山口紗季さん。「交通死した弟を想い、パネル展などで学友に訴えました」というテーマで、札幌学院大学で企画実施した「いのちのパネル展」(北海道交通事故被害者の会のいのちのパネル実行委員会制作)と、講演会について報告。その中のアンケートで、「自分や身近な人が交通事故に遭ったことがありますか」という問いに、110人中41人が遭った(自分14人、家族15人、友人12人)と答えているなど極めて深刻な実態が明らかにされるとともに、パネル展と講演会によって安全意識などに変化があったことなどが報告されました。

ワークショップ「交通教育、これまでとこれから」

 後半は、二つの報告を受けて、「交通教育、これまでとこれから」をテーマにワークショップ。現場高校教師などから、生徒の置かれている実態と意識、交通の変化などが話され、これからの交通教育の課題について討議されました。

 なお、この公開シンポの詳細報告を、2014年3月発行の「スローライフ交通教育の会」の会報17号にて行っています(2014年3月2日付加)掲載されています。(武田准教授の報告詳細は上記)

資料

資料1

武田准教授の、JR北海道をめぐる問題での北海道新聞へのコメント。

→ → 2013年10月1日 北海道新聞

資料2

北見道路訴訟についての、「スローライフ交通教育の会」2011年公開講座での「北見の自然風土を考える市民連絡会」事務局長川崎克氏報告スローライフ交通教育の会の会報15号

資料3

武田准教授の上記特別報告に関する司法判断記事2013/09/20 北海道新聞 北見・オホーツク版

「自然に相当程度影響」
北見道路訴訟で札幌地裁判決
原告団、控訴へ「勇気出た」

今年3月に開通した自動車専用道の国道39号北見道路(10・3キロ)について、地元住民らが建設の違法性を訴えた訴訟の19日の札幌地裁判決は、原告の請求を退けたものの、国の建設根拠に疑問を示したほか、建設地での自然保全措置について適切でなかった部分もあると指摘。原告団からは「踏み込んだ判決」と評価する声が上がった。
 訴訟で原告側は、高橋はるみ知事を相手に、道が支出した地元負担金を国に請求するよう求めていた。裁判では、道路の建設手続きだけでなく、建設地が希少な動植物の生息地であるため、生物多様性の保全義務についても争点になっていた。
 判決では、国側が動植物の移植を行ったものの、重要植物の工事前に比べた生存率がホソバツルリンドウで0%、クリンソウで33・8%になるなど、「自然環境に相当程度影響を与えており、ルートの選定や工法が最適かは疑問。移植が失敗した植物重要種もあると認められる」とした。ただ所定の手続きによる環境評価は行われ、移植に一定の成果はあったとし、「ただちに国に裁量権の逸脱があったとはいえない」と判断した。
 原告団の佐藤毅団長(78)=北見市=は「棄却という結果は残念だが、主張のかなりの部分を認めてもらった」と評価し、今後の控訴審に向けても「勇気が出た」と話した。
 開発局は「請求が棄却され、主張が理解された。ただ一部認められていない部分があり残念。判決内容を吟味し、対応を検討したい」とコメントした。(金子俊介)

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