交通死ー遺された親の叫びⅡ(最新〜2013) 世界道路交通被害者の日

【報告】世界道路交通被害者の日 北海道フォーラムに70人集う

投稿日:2017年11月20日 更新日:

世界道路交通被害者の日の11月19日、「交通死傷ゼロへの提言」をテーマに北海道フォーラムが行われました。
(主催:北海道交通事故被害者の会、会場:札幌市中央区「かでる2・7」 )

詳細は後日追記致しますが以下概要報告です。

第1部

第1部「ゼロへの願い」(こんな悲しみ苦しみは私たちで終わりにして下さい)では、
最初に、北斗市の 森 恵子さんが、 「息子(当時33歳)は、飲酒の上睡眠導入剤を服用した加害者の危険運転によってひき逃げされ、その全てを奪われました。」と、その無念、悲しみ、怒りを語り(道新記事参照)、
続いて、江別市の山崎直子さんは、「母は、自転車で走行中、前方不注視の車に衝突されて遷延性意識障害となり、今も入院中です。」と、お母様の無念、支援の課題、捜査と司法の問題など切々と訴えました。

2017年11月20日 「北海道新聞」

第2部

第2部の「ゼロへの提言」は、九州大学名誉教授 松永勝也氏の特別講演
「現行の安全運転教育・管理の問題点と安全運転法の科学的な考え方・実行法」
が行われました。

松永先生は先ず、「事故」は「accident」と訳すのではなく、(欧米のように)「crash」(衝突)と訳すべきと言われ、(車ー人、車ー車など)「衝突」を防ぐために、(認知・判断能力など不完全なヒトがクルマを使うのであるから)以下のような安全運転法を実行すべきと、実証データ等を示しながら、大変わかりやすく具体的に教示されました。

  1. 歩行者との衝突防止(歩行者優先の運転)
  2. 追突事故防止(停止距離以上を見通せるところでの事故防止)
      ・停止距離よりも長い車間距離(約4秒以上の車間時間)保持.
  3. 出会い頭衝突事故防止(見通しの良くないところでの事故防止)
      ・停止状態( 2段階停止)での安全確認
  4. 信号停止後の発進時や狭い場所(駐車場や構内)での事故防止
      ・アクセル操作を行う前に,進行方向の安全確認
      ・ハンドル操作を行う前に,進行方向と後方の安全確認

第3部

第3部の「ゼロへの誓い」では、北海道くらし安全推進課と道警交通部から挨拶を受け、「交通死傷ゼロへの提言」を参加者全体で確認してフォーラムを閉じました。

「ワールドディ・キャンドル」の一コマと、上記「交通死傷ゼロへの提言」

以下は、世界道路交通被害者の日・日本フォーラム(呼びかけ人:小栗幸夫 千葉商科大学名誉教授ほか)が、11月18日、港区芝公園で開催した、「ワールドディ・キャンドル」の一コマと、上記「交通死傷ゼロへの提言」です。

2017ワールドディキャンドル

交通死傷ゼロへの提言

交通死傷ゼロへの提言

2017年11月19日
世界道路交通被害者の日・北海道フォーラム

近代産業社会がモータリゼーションとともに進行する中で、人々の行動範囲は飛躍的に拡がり、欲しいものがより早く手に入る時代となりました。しかし、この利便性を享受する影で、「豊かさ」の代名詞であるクルマがもたらす死傷被害は深刻で、命の重さと真の豊かさとは何かという問いが突きつけられています。
わが国において2015年に生命・身体に被害を受けた被害者数は70万243人ですが、このうち何と96%(67万140人)は道路交通の死傷(死亡者数5,646人※厚生統計)です。
この「日常化された大虐殺」ともいうべき深刻な事態に、被害者・遺族は「こんな悲しみ苦しみは、私たちで終わりにして欲しい」と必死の訴えを続けています。人間が作り出した本来「道具」であるべきクルマが、結果として「凶器」のように使われている異常性は即刻改められなければなりません。このような背景から、国連は11月の第3日曜日を「World Day of Remembrance for Road Traffic Victims(世界道路交通被害者の日)」と定め警鐘を鳴らしています。
「交通死傷ゼロへの提言」をテーマに本年も集った私たちは、未だ続く「事故という名の殺傷」を根絶し、「日常化された大虐殺」という言葉を過去のものとするために、以下の諸点を中心に、わが国の交通安全施策の根本的転換を求めます。

第1 交通死傷被害ゼロを明記した目標計画とすること

憲法が第13条で定めているように、人命の尊重は第一義の課題です。平成28年3月策定の「第10次交通安全基本計画」の基本理念には「究極的には交通事故のない社会を目指すべきである」とされていますが、「究極的には」でなく、中期目標としてゼロの実現を明記し、政策の基本に据えるべきです。
減らせば良いではなく、根絶するにはどうするかという観点から、刑法や道路交通法など法制度、道路のつくり、対歩行者を重視した車両の安全性確立、運転免許制度、交通教育など関係施策の抜本的改善を求めます。自動車運転処罰法も、人の死傷という結果の重大性に見合う内容へとさらなる改正が必要です。
私たちのこの主張は、単なる理想論ではありません。現に、スウェーデンでは、交通による死亡もしくは重症の外傷を負うことを根絶するという国家目標を「ヴィジョン・ゼロ」という名のもとに国会決議として採択しています(1997年)。そして、この目標を達成するための方法論と、その科学的根拠を示しています。

第2 クルマの抜本的速度抑制と規制を基本とすること

これまでの長い苦難の歴史から私たちが学んだ教訓は、利便性、効率性、そしてスピードという価値を優先して追求してきた「高速文明」への幻想が人々の理性を麻痺させ、真の豊かさとは相容れない危険な社会を形成してきたということです。安全と速度の逆相関関係は明白です。命の尊厳のために、施策の基本に速度の抜本的抑制を据えるべきです。
不確かな「自動運転車」の開発が、今後も多数存在するであろう「非自動運転車」の危険速度走行を免罪することになってはなりません。クルマが決して危険速度で走行することがないように、今あるクルマの実効的速度規制が急務です。クルマ自体に、段階ごとに設定された規制速度を超えられない制御装置(段階別速度リミッター)や、ドライブレコーダー装着を義務化し、速度と安全操作の管理を徹底すべきです。
さらに、道路ごとの制限速度に応じて自動で速度抑制を行う技術(ISA:Intelligent Speed Adaptation 高度速度制御システム)の実用化や、自動ブレーキなど「高度安全運転支援車」の普及による二重三重の安全施策を早急に実施すべきです。

第3 生活道路における歩行者優先と交通静穏化を徹底すること

子どもや高齢者の安全を守りきることは社会の責務です。人口当たりの歩行者の被害死が諸外国との比較において極めて高いのが現状であり、歩行者を守るためにまず取り組むべき課題は、生活道路における歩行者優先と交通静穏化(クルマの速度抑制)です。
道路や通りは住民らの交流機能を併せ持つ生活空間であり、決してクルマだけのものではありません。子どもや高齢者が歩き自転車が通行する中を、ハードなクルマが危険速度で疾駆する日常は、その根本から変えなくてはなりません。幹線道路以外のすべての生活道路は、通行の優先権を完全に歩行者に与え、クルマの速度は少なくても30キロ以下に一律規制(「ゾーン30」など)し、さらに必要に応じて道路のつくりに工夫を加えて、クルマの低速走行を実現しなくてはなりません。これが欧州の常識であり、ドイツやオランダの都市では、完全に実施されています。このような交通静穏化は歩行者優先の理念の「学び直し」の第一歩であり、ひいては幹線道路の交差点における死傷被害の抑止に結びつくはずです。横断歩道のあるすべての交差点を歩車分離信号にすることも重要課題です。
同時に、財源措置を伴う公共交通機関の整備を進め、自転車の更なる活用と安全な走行帯確保を緊急課題と位置づけるなら、道路の交流機能は回復し、コンパクトな街並みは活気を取り戻すでしょう。
交通死傷被害ゼロのために、現行の交通システムを安全なものに改善することは、住民の生活の質をも豊かにし、すべての市民の基本的人権の保障につながるのです。

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