交通死ー遺された親の叫びⅠ(2013~1998)

【コラムNo.019】2005/4/3 一筋の光、「犯罪被害者等基本法」施行とドクターヘリ本格運用

2005年4月3日

◆年度始めの4月1日、新聞記事の見出しのいくつかに目が行きました。

◆一つは、「犯罪被害者基本法きょう施行」という読売新聞記事です。犯罪被害者の権利を保障した「犯罪被害者等基本法」が6か月間の周知・準備期間を経て施行日を迎えたのです。今後、内閣府の犯罪被害者等施策推進会議が12月の閣議決定をめどに、基本計画作成の検討に入ります。

◆希望の光を感じます。欧米諸国に比べ数十年の遅れがあるとされた犯罪被害者の権利の問題がようやく本格検討されるのです。

◆読売新聞記事の後段には施策推進準備室が実施した被害者関係団体ヒアリングの概要も紹介されており、「交通事件の遺族からは、捜査情報の早期開示」が要望されたと報じられています。

◆この被害者関係団体17には、当会はじめ交通事件被害の6団体が含まれ、捜査情報開示など交通犯罪に特有な課題も注目されたことに、変化の胎動を感じます。基本法の中身を作るために、当事者としてさらに課題を訴えなければと思います。

◆二つは、「救急医療の切り札 さっそうと」という見出しで、ドクターヘリの本格運用が道央圏で始まるという、4月1日朝日新聞道内版の記事です。

◆「ドクターヘリ」とは、医師や看護師がヘリコプターで駆けつけて、患者を治療しながら救命救急センターに運ぶものですが、3年前から民間の研究機関が試験運用しており、ようやく道と国の補助事業として新年度予算に盛り込まれました。

◆ドクターヘリについては、私たち被害者の会でも、3年前から要望事項の一つにあげ、道知事に強く要請していました。

◆要望項目に入れる提案をしたのは世話人の水野さんです。水野さんは娘さんを交通事故で失いましたが、市街地から遠く離れた当時の現場にドクターヘリが飛んでくれていれば、助かっていたのではという思いを、今も消すことができないと言います。

◆「犠牲を繰り返して欲しくない」という当事者の痛切な願いが一つでも前進したことを喜びたいと思います。同時に、ドクターヘリが道央圏だけでなく、全道をカバーしての本格実施となること、要望事項の実現項目がさらに増えて被害ゼロの社会が一日も早く来ることを願います。(前)

(「北海道交通事故被害者の会」会報17号より)

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