追記2(20180321)
「北海道犯罪被害者等支援条例」が平成30年3月20日道議会で可決
施行日は、平成30年4月1日
標題のシンポジウム開催を中心に、条例制定を核として、道内どの地域でも必要な支援を受けられるようにとの取り組みですが、昨年来の道当局と関係機関や支援の団体の方々の尽力で、このほど北海道条例が制定されました。
議決された条例案 ⇒ 北海道犯罪被害者等支援条例
犯罪被害者等基本法から13年、国の最初の基本計画から12年を経て、一番身近な自治体における支援の課題を、改めて道民ぐるみで考え、実効ある施策に結びつけるための貴重な一歩と思います。
今後の課題は、理念と計画の基本を定めた本条例に基づく道の実効ある施策展開と、道内179市町村のどこでも、必要な支援が受けられるよう、道を要に連携や情報提供を深める中での条例整備と施策推進です。
現状の北海道は、安全安心条例の1項目に被害者支援が記されている自治体が殆どで、特化条例は5%の自治体に過ぎません。結果として、独自の支援金(見舞金や貸付金)を定めている自治体は3自治体、何らかの日常生活支援(付添支援、自宅訪問、家事援助、居宅提供など)を可能とする自治体は6割ほどに止まっています。
追記1(20171108)
北海道は条例「素案」を示し、パブコメ開始
下記シンポジウムの成功から3ヶ月経た11月8日、道は「北海道犯罪被害者支援条例(仮称)素案」を示し、パブリックコメントの募集を開始しました。
示された素案ですが、いくつかの点で、被害者団体(道交通事故被害者の会)の意見も取り入れられた貴重な内容となっています。
一例を挙げます。
◆ 3の「基本理念」、及び4と5の道民等の「責務」に、「二次被害」の防止・配慮などが明記されています。
(これは、同じく条例制定に動いている大分県で、被害者の意見を聞いて、全国で初めて明記されようとしてしている点です)
◆ 同じく、「基本理念」において、他県でも使われている「再び平穏な生活を営むことができるように」という箇所が、「安心して暮らすことができるよう」という文言に改訂されています。
(これは、被害者は決して被害前の状態に回復することはないので、誤解や偏見に繋がらないよう表現を改めて欲しいと要望した点です)
◆ 9の「推進体制の整備で、専門職員の配置が、より明確化された項目となっています。
(国の3次計画でも強調されている、専門職員の配置が位置づけられたことは重要です)
◆ 14の道民の意見の把握等で、「被害者等の意見の把握」が明記されています。
(当事者の意見把握は重要ですので、懇談会でも強く求めました。被害者の視点は、命の尊厳と社会正義実現につながるからです)
7/24札幌シンポ「考えよう 市町村における犯罪被害者支援」に100人(発言記録あり)
シンポジウム「考えよう 市町村における犯罪被害者支援~どの地域でも 必要な支援を受けられるように~」(主催:被害者が創る条例研究会)が、7月24日、札幌市において開催されました。
会場の「かでる2・7」には、関係機関や支援の団体、北海道交通事故被害者の会の会員や犯罪被害者の方、そして市民の方など約100名が集いました。
以下、プログラムと関連報道です。(講演記録は9月18日アップ、他の発言記録は11月4日アップ)
テーマ: 考えよう 市町村における犯罪被害者支援
~どの地域でも 必要な支援を受けられるように~
基調講演 諸澤 英道 常磐大学元学長 世界被害者学会理事
「被害者にやさしいまち、冷たいまち」
講演録はこちら → 講演録「被害者にやさしいまち、冷たいまち」
講演のレジュメも参照下さい → レジュメ
被害者の声 生井 澄子 犯罪被害者遺族
「長女を殺人事件で奪われて」 → 講演録
パネルディスカッション
「市町村における犯罪被害者支援」 → 発言記録(+挨拶、被害者の声、総括)
コーディネーター 鴻巣 たか子(主催団体) 諸澤 英道(常磐大学元学長)
パネリスト
能登 啓元 明石市
木本 克己 横浜市
生井 澄子 犯罪被害者遺族
高山 一枝 北海道家庭生活総合カウンセリングセンター
亀田 成基 北海道 くらし安全局
廣川 衣恵 札幌市 市民文化局
ラポーター 総 括
内藤 裕次 北海道交通事故被害者の会 副代表
NHK NEWS WEB (7月24日 20時18分)より
犯罪被害者支援のあり方を考える
犯罪に巻き込まれた被害者や家族への支援のあり方を考えるシンポジウムが札幌市で開かれ、被害者に寄り添った支援の充実を求める意見が出されました。
シンポジウムは、全国の犯罪被害者の家族や研究者などでつくる団体が開き、27年前、当時24歳の長女を殺害された札幌市の生井澄子さん(81歳)が講演を行いました。
この中で生井さんは「事件直後は感情を吐き出すこともできず体調を崩したこともあった。信頼を置いて相談できる人が身近にいてくれたらとてもありがたい」と述べ、被害者に寄り添う身近な支援の充実を訴えました。
このあと、パネルディスカッションが行われ犯罪被害者の支援に力をいれている兵庫県明石市の担当者は、「被害者は事件直後、パニックの状態が多く、行政側が何に困っているのかを想像し、一歩踏み込んでサポートすることが重要だ」と述べました。
また、警察の捜査にくわしい常磐大学の諸澤英道元学長は「事件直後は警察捜査が優先され行政の支援は滞る傾向にある。警察と行政などが日ごろから顔の見える関係で連携していくべきだ」と指摘しました。
シンポジウムを聴いた心理カウンセラーの女性は、「支援の難しさも感じているが被害者の気持ちにしっかり寄り添って対応していきたい」と話していました。
写真
写真1: 諸澤英道氏(常磐大学元学長)の基調講演「被害者にやさしいまち、冷たいまち」を聴く参加者
写真2:パネル討論のパネラーの皆さん
写真3:被害者の声「長女を殺人事件で奪われて」の生井澄子さん
月刊誌「北方ジャーナル」が9月号(2017年9月1日発行)で報じてくれました。(8月15日追記)
北海道交通事故被害者の会・会報誌での報告(2017年8月発行 54号p13)
案内チラシ
下記は案内チラシの表面です。