交通死ー遺された親の叫びⅡ(最新〜2013) 世界道路交通被害者の日

【報告】ワールドディ・北海道フォーラム2018に60人(11/18追記)

2018年10月4日

 ワールドディ・北海道フォーラム2018は、11月17日(土)、札幌市中央区の「かでる2・7」520研修室を会場に開催され、市民の方、関係機関の方、そして道交通事故被害者の会会員など、総計約60が集い、下記テーマで、交通死傷ゼロへの課題を話合いました。

「高齢者を被害者にも加害者にもさせないために
~クルマ優先を改め、歩行者の安全を守り抜く~」

第1部 ゼロへの願い: こんな悲しみ苦しみは私たちで終わりにして下さい

「夫(65歳)は青信号で横断中、信号無視の“殺人車”に命を奪われました」

札幌市 中田 淳子

第2部 ゼロへの提言と誓い

基調提言
「クルマ優先を改め、歩行者・自転車の安全を守り抜く社会を」

北海道交通事故被害者の会 前田敏章

特別講演
「高齢者を加害者にさせないために
~認知症の初期症状を知り、運転を早めに辞めよう~」

勤医協中央病院 名誉院長 
伊古田 俊夫 先生
(札幌市認知症支援事業推進委員会委員長)

関係機関からの報告
「事故のない安心して暮らせる北海道の実現に向けて」

北海道警察本部 交通部(管理官 森田 浩 氏

「高齢運転者支援対策について」

北海道警察本部 交通部 免許試験課(講習担当課長補佐 寺岡 昌司 氏

「地域の暮らしを守る交通安全について」

北海道環境生活部 くらし安全局 道民生活課(課長 屋代 芳彦 氏

世界道路交通被害者の日・いのちのパネル展(いのちのパネル実行委員会)

11月15・16日 札幌駅地下歩行空間

交通死傷ゼロへの提言

 以下は、フォーラムで確認された「交通死傷ゼロへの提言」です。

交通死傷ゼロへの提言

2018年11月17日
北海道フォーラム

 近代産業社会がモータリゼーションとともに進行する中、この利便性を享受する影で、「豊かさ」の代名詞であるクルマがもたらす死傷被害は深刻で、命の尊厳とは何かという問いが突きつけられています。
 人間が作り出した本来「道具」であるべきクルマが、結果として「凶器」のように使われている異常性は即刻改められなければなりません。

第1 交通死傷被害「ゼロ」のための施策推進を

 憲法が第13条で定めているように、人命の尊重は第一義の課題です。平成28年3月策定の「第10次交通安全基本計画」の基本理念には「究極的には交通事故のない社会を目指すべきである」と記されていますが、「究極的には」でなく、中期目標としてゼロの実現を明記し、政策の基本に据えるべきです。減らせば良いではなく、根絶するにはどうするかという観点から、刑法や道路交通法など法制度、道路のつくり、対歩行者を重視した車両の安全性確立、運転免許制度、交通教育など関係施策の抜本的改善を求めます。自動車運転処罰法も、人の死傷という結果の重大性に見合う内容へとさらなる改正が必要です。

第2 クルマの抜本的速度抑制と規制を基本とすること

 これまでの長い苦難の歴史から私たちが学んだ教訓は、利便性、効率性、そしてスピードという価値を優先して追求してきた「高速文明」への幻想が、人々の理性を麻痺させ、真の豊かさとは相容れない危険な社会を形成してきたということです。安全と速度の逆相関関係は明白です。施策の基本に速度の抜本的抑制を据えるべきです。
 未来の「自動運転車」ではなく、今あるクルマの速度規制が急務です。クルマ自体に、段階ごとに設定された規制速度を超えられない制御装置や、ドライブレコーダー装着を義務化し、速度と安全操作の管理を徹底すべきです。
 道路ごとの制限速度に応じて自動で速度制御を行う技術(ISA:Intelligent Speed Adaptation 高度速度制御システム)の実用化を急ぎ、自動ブレーキなど「高度安全運転支援車」の普及による二重三重の安全装置を施すべきです。

第3 生活道路の歩行者優先と交通静穏化を徹底すること

 子どもや高齢者の安全を守りきることは社会の責務です。道路や通りは住民らの交流機能を併せ持つ生活空間であり、決してクルマだけのものではありません。子どもや高齢者が歩き自転車が通行する中を、ハードなクルマが危険速度で疾駆する日常は、その根本から変えなくてはなりません。生活道路は、通行の優先権を完全に歩行者に与え、クルマの速度は少なくても30キロ以下に一律規制(「ゾーン30」など)し、必要に応じ道路のつくりにも工夫を加え、交通静穏化を実現しなくてはなりません。横断歩道のある全ての交差点を歩車分離信号にすることも重要課題です。
 同時に、財源措置を伴う公共交通機関の整備を進め、自転車の更なる活用と安全な走行帯確保を緊急課題と位置づけるなら、道路の交流機能は回復し、コンパクトな街並みは活気を取り戻すでしょう。それは、住民の生活の質をも豊かにし、全ての市民の基本的人権の保障につながるのです。

 東京では、今年も東京タワー前でキャンドルイブが行われました。

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