交通死ー遺された親の叫びⅡ(最新〜2013) 交通死傷ゼロへの願い

【お願い】 飲酒運転根絶道条例制定にご理解とご支援を

2015年6月28日

小樽・砂川の飲酒ひき逃げ事件など悲劇根絶求め

 当サイトでお願いと報告を続けている「交通死傷被害ゼロ」をめざすとりくみですが、とりわけ昨年7月13日の小樽市銭函での飲酒引き逃げによる4人死傷事件以来、昨年は北海道の被害使者数が全国ワーストとなったこともあり、飲酒運転根絶の課題~道独自の条例制定など~が急浮上しました。
 北海道の被害者遺族・団体は、条例制定を求める署名を提起した学生グループとも連携して、署名やシンポジウム開催(1月24日、6月7日)による条例制定運動を進めてきましたが、その最中の6月6日、砂川市で飲酒ひき逃げ一家5人死傷(4人死亡1人重体)事件が起きてしまいました。

6月25日、道議会自民党の条例制定「検討会」に被害遺族(団体)が要望意見

 非道な砂川事件の真相が徐々に明らかになる中、今度こそ飲酒運転を「させない」「許さない」北海道にしなければならないという道民世論の後押しもあり、既に検討を始めていた道議会自民党が議員提案による条例制定の方針を固め、6月25日開催の「(飲酒運転根絶条例制定)検討会」(柿木克弘会長他12名)で、被害遺族(団体)の要望を受けました。

 「検討会」には高石洋子さんなど被害者6名、学生の委員会(アルコール問題対策委員会)から2名、計8名が参加、柿木会長からの、「意見を聞いてよりよい原案を早期に作りたい」との挨拶を受け、北海道交通事故被害者の会からは、緊急にまとめた道議会議長宛の「飲酒運転のない北海道を実現するための条例制定についての要望書」(PDF 後段に全文)を柿木会長に手渡しました。

「実効ある」総合的な条例を目指して

 飲酒運転根絶の条例制定については、被害者の会の会報47号でも報じたように、飲酒運転被害遺族高石さんが3月5日に道知事宛要望書を提出しています。(PDFはこちら
 このたびは、本格検討のスタートラインと考えて臨んだ検討会でしたが、現段階(2015年6月)では、福岡型の実効性のある条例という素案にはなっていないようです。
 福岡県条例以前の「理念型」に留まらず、実効性を持った総合的な条例とするポイントは、飲酒運転での検挙者のアルコール依存症受診義務等「治療的介入」や、「させない」ために道民一人ひとりの通報努力の規定、および飲食店や種類販売業者、駐車場管理者など特定業者の具体的責務の明確化などかと思いますが、下記要望書に基づきしっかり求めていきたいと思います。

8月5日、道議会自民党が条例素案

 飲酒運転根絶をめざす上で大きな進展がありました。8月6日付道新記事(後段)で報じられているように、条例案を検討していた道議会自民党の「飲酒運転根絶条例制定検討会」(柿木克弘会長)が素案を発表し、他会派との調整の上、会派共同での議員提案を行い、年内道議会での可決をめざすとのことです。
 ※道議会自民党は「北海道飲酒運転の根絶に関する条例(仮称)素案」への意見募集を同党ホームページにアップしました。

 自民党がまとめた「北海道飲酒運転の根絶に関する条例(素案)」は、基本理念として「全ての道民が『飲酒運転をしない、させない、許さない』という認識の下に・・・推進」と明記し、「実効性のある取り組み」、「(根絶に関する施策を)総合的に推進」ということを謳っています。

 具体的には、道民および事業者の責務として飲酒運転の危険性について理解を深め、飲酒運転しようとしている人への「制止」や発見した場合の警察への「通報」努力を明記。
 飲食店営業者や酒類販売業者、タクシー及び代行業者など特定事業者に向けては、教育・広報・通報などの責務が具体的に定められています。
 また、飲酒運転検挙者に対しては、保健所によるアルコール健康障害に関する保健指導を促すなど予防・再発防止の措置などを規定。
 その他、全17条の中で、「イベント等を主催するものの責務」や「教育及び知識の普及」「飲酒運転根絶の日」(7月13日)など飲酒運転を根絶するための具体的施策が提案されています。

10月6日、道議会が(全会派)条例案のパブコメ

 上記道議会自民党の検討会が作成した条例素案を基に、道議会全会派によるプロジェクトチームが9月から検討を続けていましたが、10月6日、作成された条例案についてのパブリックコメント(意見募集)が始まりました。期間は10月20日まで。

「この度、自由民主党・道民会議、民主党・道民連合、北海道結志会、公明党、日本共産党の道議会全会派で組織するプロジェクトチーム「飲酒運転の根絶に関する条例案検討会議」は、「北海道飲酒運転の根絶に関する条例」案を取りまとめましたので、広く道民等の皆様からご意見を募集します。」

 全会派条例案は自民党の条例素案に加え、北海道の地域性を考慮した条文~ 「飲食店営業者等は、それぞれの営業時間に係る地域の状況を勘案し、来店者への情報提供等タクシー事業者及び代行業者と連携して飲酒運転を根絶するための社会環境づくりに努めるものとする」(第7条の3項)~が、被害者等の意見聴取(10月1日)後に付加されたことが特記されます。

 小樽、砂川などの悲劇を二度と繰り返させないために、より実効性のある条例案となるよう取り組みを進めていきたいと思います。

2015.11.26. 北海道飲酒運転根絶条例が成立 施行は12月1日

2015/08/06 北海道新聞

飲酒運転 7月13日「根絶の日」
条例素案 罰則規定見送り

 道議会会派の自民党・道民会議は5日、飲酒運転根絶条例の素案を発表した。飲食店や酒類販売業者のほか道民全体の努力義務として、飲酒運転をしようとしている人への制止や、発見した場合の警察への通報を促した。罰則規定は見送った。素案を基に他会派と調整した上で共同で議員提案し、年内の可決を目指す。
 素案は全17項目。昨年7月、小樽市の「おたるドリームビーチ」近くで飲酒運転の車に女性4人がはねられて3人が死亡したひき逃げ事件発生の日にちなみ、7月13日を「飲酒運転根絶の日」に定めるとした。
 努力義務としてはほかに《1》飲食店や酒類販売業者が飲酒運転防止の文書を掲示する《2》タクシー業者・代行業者が、飲酒運転防止のために利用を呼び掛ける広報活動を行う―などを盛り込んだ。イベント主催者が酒類を提供する際も、啓発や飲酒運転防止措置を講じるよう促した。
 アルコール依存症などの人やその家族への相談支援推進や、飲酒運転をした人に保健所の指導を受けることを促すなどの予防・再発防止の措置も規定した。
 道外では福岡県が2012年に全国で初めて罰則付きの「飲酒運転撲滅条例」を制定。5年以内に飲酒運転で2回摘発された人にアルコール依存症診断の受診義務を課し、怠った場合は5万円以下の過料とした。道議会自民党の検討作業でも、交通事故被害関係者から同様の規定を設けるよう要望が出ていたが、同会派は罰則による抑止力ではなく、道民が根絶への取り組みに関わりやすい環境づくりを優先したとしている。

「飲酒運転のない北海道を実現するための条例制定についての要望書」

平成27年6月25日
北海道議会議長 殿

飲酒運転根絶条例についての議員検討会
会長 柿木 克弘 殿

飲酒運転のない北海道を実現するための条例制定についての要望書

北海道交通事故被害者の会
代表 前田 敏章

 被害者団体として「こんな悲しみや苦しみは私たちで終わりにして欲しい」という切なる思いで活動を続けている私たちは、2002年以来毎年国と道に提出してきた要望書の中で、飲酒運転等の厳罰化とともに事故の際の運転者の飲酒検査の徹底や血液検査の制度化、飲酒の違反者にはインターロック(アルコールを検知すると発進できない装置)装着を義務化することなど未然防止対策を求めてきました。
 しかし、昨年7月小樽市銭函で3人死亡1人重傷という大事件が起き、その後も、道民の願いも空しく飲酒運転による交通死傷事件は止まず、昨年は被害死者数19人の全国ワーストとなり、ついに本年6月6日には砂川市の国道で一家4人が死亡1人重体という惨事が起きてしまいました。
 私たちは、北大の学生などで作るアルコール問題対策委員会が提起した飲酒運転撲滅道条例制定の署名活動に励まされ、そして、福岡県などやはり悲惨な被害事件を契機に先駆的に進められている条例を中心とする取り組みに学びました。飲酒運転被害を根絶するために、刑罰による個人に対する事後的処罰だけでなく、社会問題として対処し未然防止を徹底するための条例制定を以下要望致します。

〈要望事項〉
 飲酒運転のない北海道を実現するために、飲酒運転をしないはもちろん、させない、許さないを、道民一人ひとりと行政・関係機関が一体となって取り組むことのできる、実効ある総合的な飲酒運転根絶条例の制定を要望致します。
 条例には、アルコールに関する正しい知識の普及・浸透、規範意識・モラルの涵養と浸透、アルコール問題への治療的介入という3つを基本に、北海道の地理的特性や公共交通機関網整備の問題など地域的特性から導かれる課題を踏まえ、下記の内容を盛り込んでいただきたく重ねてお願い申し上げます。

  1. 1 飲酒運転の個人に対する厳罰化だけでは、その抑止に限界があります。地域社会全体に、すなわち道民一人ひとりに、飲酒運転をさせない、許さないという意識と行動を根付かせる必要があります。
    道民一人ひとり、および全ての事業者に、危険極まりない飲酒運転の未然防止に努める責務があることを明確にし、身近な家族や知人、あるいは従業員などが飲酒運転をするおそれがある場合に、警察官への通報努力などを明記すること。
    道民に対する飲酒運転根絶の啓蒙活動の一層の推進も強調し謳うこと。
  2. 2 飲酒運転検挙者には、アルコール依存症に関する診察または飲酒行動に関する指導を受けることを義務化し、また再検挙者には、罰則規定を設けてアルコール依存症の受診を促すなど、実効ある未然防止策を盛り込むこと。
  3. 3 酒類を提供する飲食店や酒類販売業者、駐車場所有者、タクシー事業者、運転代行業者など、関係する事業者に対して、飲酒運転根絶の啓蒙努力、酒類提供時の未然防止努力、および、来店者や利用者が飲酒運転のおそれがある場合には警察官へ通報することなどの責務を具体的に盛り込むこと。
  4. 4 学校教育および社会教育の中で、飲酒運転防止に関する基本知識の習得がその発達段階や対象者の特性に応じて徹底されるように、医療や教育等関係機関が連携してプログラム作成と実施に当たることができるようにすること。その際に、命の大切さを学ぶことを基底に据えること。
  5. 5 飲酒事故率全国ワースト2(2014年)の北海道が飲酒運転根絶を率先して進めるために、飲酒運転摘発者にインターロック装置(アルコールを検知すると発進できない装置)の装着義務化、もしくは実験的な導入に基づく効果測定のとりくみを道独自で行うことを盛り込むこと。
  6. 6 条例施行後の見直し、また条例にもとづく諸施策を検討、推進するための協議体には、被害者・遺族の視点が取り入れられるようにその構成員とすること。

以上

2015/06/26 北海道新聞朝刊全道

飲酒運転根絶 意見聞く
道条例検討会に遺族ら

 道議会会派の自民党・道民会議は25日、議員提案で飲酒運転根絶条例の制定を目指す検討会(柿木克弘会長)を道議会内で開き、飲酒運転による死亡事故被害者の遺族らから、条例に盛り込む内容について意見を聞いた。遺族らの意向を踏まえて条例案を策定し、年内に制定、施行する方針だ。
 「北海道交通事故被害者の会」の前田敏章代表ら8人が出席。前田代表は、飲酒運転の再犯者には、罰則規定を設けてアルコール依存症診断の受診を義務付けることなどを条例で定めるようにする要望書を提出した。ほかの遺族からは、飲酒運転防止に関する学校教育の拡充などを条例に書き込むべきだとの意見も出た。

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