「千尋観音」に託す「犠牲を無にしないで」の願い
千尋が脇見の運転者によって命を奪われた現場は、千尋の愛犬サム(遺影に抱かれています)との毎朝の散歩コースでもありました。
遺された私たちは、長女に替わってサムを散歩させ、現場に花を供える度に、千尋の無念を想い涙していました。
事件から4年後、現場に観音像を建立し、「犠牲を無にしないで」という長女の願いを託しました。
聖千尋観音
- 建立地:
- 千歳市北信濃770番地
市道東7線,「(株)ダイヘン」前 - 建立年:
- 1999年10月25日(4年目の命日)
- 碑 銘:
- 私の犠牲を無にせず
子どもやお年寄りも
安心して歩ける
人にやさしい社会を
創って下さい - 制 作:
- 石像彫刻師 長岡 凞山(きざん)
建立メモ
制作いただいたのは、滝川市の石像彫刻師、長岡凞山氏です。山崎石材さんから紹介いただき、師には、千尋の写真を持参して家族の願いを伝えご依頼しました。
師の全霊をこめて制作いただいた「聖千尋観音」は、千歳市(建設部道路管理課)への石仏設置の申請を経て4年目の命日に建立しました。
(2010年、市道の改良工事に伴い、台座が現在のように改築されました。)
聖千尋観音が本に紹介・記録されました
~「交通安全を語る仏さま」釈 地縁著~
この本の著者である、釈 地縁さん(しゃく ちえん:ペンネーム,札幌市在住の元道職員)とは,北海道交通事故被害者の会が主催するフォーラムで知り合うことが出来ました。
釈さんは、2020年8月に自費出版された本の中で,「聖千尋観音」を記して下さる(表紙写真とp55)とともに、被害者の会が会報やフォーラムで訴えている切なる願い~犠牲を無にせず,交通死傷ゼロの社会を創って欲しい~を全編に込めて下さいました。
釈さんは,出版に至る経緯を自身のサイトで次のように記されています。
「北海道の道端で交通安全を見守っている、お地蔵さんや観音さんをお参りしてきました。おもに平成22年から26年にかけてのことです。
拝顔した仏さまは一カ所一体として約300体です。そのうち交通事故死者の慰霊や交通安全祈願のために建立されたと思われる仏さまは170体ほどで、90%がお地蔵さんでした。お参りを重ねている間に、道端から姿を隠した尊像があることを知りました。
“交通戦争”を伝えている仏さまの記録を、今のうちに残しておく必要があると考えました。」
(釈さんのサイト「交通安全を語る仏さま」https://bhj380.jimdofree.com/ より)
そして釈さんは、沢山の方に道端の仏様の願いを知っていただきたいと、この本を全道163か所の公立図書館に寄贈されていますので貸出可能です。
またPDFでダウンロードして読むことも出来ます。
https://drive.google.com/file/d/1OZ9vxTUvg0MbFO2JChBkdUTgGJShVUaY/view
皆さまへのお願いです。是非この本を通して、全道170体の尊像をはじめとする安全な社会を願う「声なき声」に耳を傾け、交通死傷ゼロについて語り合って下さい。
(2020年10月、25年目の「遺された親」)